twitter経由で60人の実務者が結集、建築・不動産実務クラスタ交流会

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2010年〜2011年の出来事として、「建築・不動産実務クラスタ交流会」というイベントを開催したことがあります。これはその後、PROPSという形で発展することになります。

twitterの呼びかけで60人が結集した、建築・不動産実務クラスタ交流会

「建築・不動産実務クラスタ交流会」のきっかけはtwitterでした。この頃はまだtwitterで活発に議論する土台があって、さくら事務所の長嶋修さんとリプライを交わす中で、「建築や不動産の実務者が議論する場を作ろう」という流れになったんです。でも準備期間が2週間ぐらいしかなくて、どうすればいいか困っていました。

そこで協力を持ちかけたのが、その頃オフ会で初めて会ったばかりの、ぽむ企画の平塚桂さんです。ぽむ企画は2000年代の建築学生のアイドルのような存在で、同時期にテキストサイトをやっていた自分にとっては雲の上の存在でした。平塚さんは、僕が学生時代にやっていた「建築家トーナメント」や、せんだいデザインリーグで入賞したことを覚えてくれていました。

当時は炎上してたようなサイトが7年も経ってからつながりを生むなんて、感動しました。しかも学生の時から憧れだったぽむ企画ですからね。twitterを通じて、2000年前後のインターネット草創期に建築系テキストサイトをやっていた同年代の人たちの動向を再び目にすることができたし、こうやって時を経て初対面を果たすこともできました。

「建築・不動産実務クラスタ交流会」第1回のゲストは、長嶋さんのほか、CM協会やライターの取材先としてゆるやかにつながりのあった山下ピー・エム・コンサルタンツの川原秀仁さんに僕が声をかけて、平塚さんが三井不動産の篠原徹也さんに声をかけて、来てもらうことになりました。あと、公募で数人のゲストにも参加してもらいました。

有名無名問わず、匿名実名問わず、話したい人は誰でもOK

有名無名、匿名実名問わず自由に議論できる場をつくりたい

実名の人、ハンドルネームの人、有名無名問わず、登壇したい人にチャンスをあげる。そこにPROPSにつながるこだわりがある気がします。自分がハンドルネームで発言して「安全なところから発言しやがって」みたいなことを言われて嫌な思いをしたことも多かったんですけど、日本の会社員にSNSで実名を強要するほうがリスキーで公平ではないと思うんですよね。

運営を手伝ってくれた方や参加者の中にも、面白い方々がたくさんいました。「不動産屋のラノベ読み」というブログを書いてるLhankor_Mhyさん、当時は学生だった小泉瑛一さん(現在オンデザインパートナーズ)、大成建設でBIMのプロだった正光俊夫さん(現在Autodesk)など、いろんな人とつながりができました。正光さんは新潟の現場から駆けつけてくれたんですよ。

早稲田のウルトラカフェという20人ぐらいしか入れない会場に50〜60人来てしまい、床にブルーシート敷いて無理やり詰め込んだので、アングライベントっぽくなってしまった(笑)。建築や不動産の実務系の人がこんなに集まるイベントはこれまでなかったから、ネットってすごいなと思いました。

ウルトラカフェ。ここに50〜60人が来てしまいました。

IT業界なんかだと、社会人が勉強したり交流したりするイベントが活発に行われていますが、建築分野では学生向けばかりで、実務者向けのイベントがなかったんですよね。建築や不動産業界の情報発信の多くは建築家が担っていて、そうすると住宅や公共施設が中心になってしまい、民間の大規模建設プロジェクトに関する話はあまり伝わってこないんです。事業主とか建築・不動産業界のプレイヤー目線から発信するということを、誰もやってなかったんです。

こうした情報は話題性があるわけではないので、雑誌で発信するのは難しいでしょう。けれど、ネットでなら「やりたい」と思った人が手を挙げることができるし、需要もあるんだなと思いました。

建築や不動産業界のプレイヤーに丁寧に話を聞いていく場を残していくことができれば、大きな問題があった時にもきちんと議論する土台になるでしょう。耐震偽装問題が起きた時にもしこういう場があったなら、もっと前向きな議論ができたろうにと思ったんですよね。

(取材・文 たかぎみ江)

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