インタビュー

キャリア破綻、食えないフリーランスがネトゲにはまり廃人ニートに

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2012年春に大学院修了してからの1年間は最悪で、ほぼニート状態でした。そもそも数年かけて進めてきたキャリアの大前提が狂ってしまったんですよね。目的がないので働く気も起きない。特にビジネスモデルとかがあるわけではないので、どうしたらいいのかわからず、ゲームをしたりと現実逃避をしていました。仕事を探すにしても、不況が回復しないまま2011年3月の東日本大震災を迎え、2012年はどの会社も体制の立て直しに必死で、求人がありませんでした。

お金がなくて家から出れず、はまったのはネットゲーム

お金がないので、ほとんどの時間は家でPCに向かう生活。最悪だったのはブラウザ三国志や、ブラウザ三国志のキャラクターだけ入れ替えたブラウザ一騎当千というネトゲにはまり、100人規模の大手同盟の幹部になってしまったことです。

ブラウザ一騎当千のゲーム画面

ブラウザ一騎当千のゲーム画面

ブラウザ三国志はドワンゴの川上社長が嵌まるなど、中毒性の高いゲームとして有名でした。ゲームバランスが絶妙で、金と時間と組織力がモノを言うゲームです。プレイヤーには若手もいれば30代以降の年輩ゲーマーもいます。実生活ではFXや転売で稼いでいる人も、大手企業で働いている人もいました。

リアルでのアグレッシブさがプレイスタイルにも反映されるので、方向性は違えど大手同盟になると優秀なプレイヤーが集まります。いま流行っているソーシャルゲームとの違いは、毎晩6~8割のメンバーがチャットルームに集まり、昼でも2割くらいのユーザーがいるというところでした。

このゲームには「戦争」というものがありました。隣接する他のプレイヤーをいつでも攻撃できるというルールがあるのです。同盟同士の友好は、「不可侵条約」や「相互防衛」というもので担保していましたが、これはシステムで保証されているわけではなく、メールを送ったり、ICQやSkypeで実際に交渉することで結ばれるものでした。この「システムで安全が保証されていない」というところがポイントで、裏切りがあったり、スパイがいたりと人間臭いゲームだったのが魅力の一つでした。

平和な時期は資源を蓄えたり、兵力を増強したりするのですが、戦争が始まると、「籠城」という1日1度6時間使える安全時間を除けば、攻撃されていつ落城してもおかしくない状態が続きます。大規模同盟同士の戦争だと長期化し、2週間~1か月くらい睡眠時間以外はほぼ戦い続けることになります。僕は盟主補佐や軍師を務めていたこともあって、戦争が起こると盟主と交代でチャットルームに常駐し、戦争の指揮を取っていました。2chでデマを流すといった情報戦を仕掛けたり、逆にいろいろと晒されたりもしました。

ゲーム史上初、天下統一メンバーに

サーバーにある7つのNPC城を1つの同盟で制圧すると天下統一となります。2000人くらいのプレイヤーがいくつもの同盟に分かれて、城の確保を目指します。結局、半年間で2度の天下統一を実現しました。ブラウザ一騎当千では初めての天下統一でしたね。ネットで完結したコミュニケーションで何かをやり遂げることができたのは面白かったです。

ニートに近いフリーランスだと、自分を抑えることができませんでした。途中でリアルの予定とゲームの予定の区別がなくなり、「(戦争中で)忙しいから、取材のオファーを断る」というアホなことをやっていました。

「人に会わない」というのは、未来が開かないので本当に危険ですよね。あまりにも暇だと我慢できなくて、何かで隙間を埋めようとしてしまう。それが仕事であればいい方向に進むんでしょうが、ゲームとかニコニコ動画とかは本当に発展性がない。コミュニティに属さなくなると人は生きていけないんですよね、当たり前のことですが。

もう一つやばいと思ったのは、大きい会社にいると大企業病みたいになっちゃって、小銭を稼ぐ能力が失われるんだなということ。特に僕が会社員時代に関わっていたような大規模プロジェクトは分業化が進んでいるので、自分で手を動かしてパワーポイントやIllustratorで企画書や提案書を作る能力が知らないうちに落ちていたんです。

それに会社員生活が長くなると、毎月20万30万もらえることを当たり前に感じちゃって、自分の仕事が給料に見合っているのか気にしなくなってくる。そうするといざフリーランスになった時、こいつ手が動かないくせに単価高いなと思われてしまいます。

定期的にwebをいじったりブログを書いたりして、ちょっとしたスキルを維持するのは大切だなと身にしみました。リハビリとして知人の資料作成の手伝いをしたり、年末に郵便局にバイトしに行ったりもしてました。少額であっても稼ぐ力を保つのは大事なんですよね。

(取材・文 たかぎみ江)

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