三六協定は、スタッフ採用時に残業(時間外労働)や休日出勤の発生が見込まれる場合、労働基準監督署に提出が必要になる届出です。
設計事務所や建築系の会社では残業はほぼ必ず発生するので、実質的に必須の手続きとなります。三六協定を提出せずに残業をさせた場合は違法となるため、あらかじめ提出することがリスク回避につながります。
三六協定の届出は設計事務所で学生アルバイトを雇う場合や、個人事業主の建築士がスタッフを雇う場合にも必要となります。このページでは設計事務所の代表の方や人事労務担当の方向けに三六協定の必要性や届け出る際のポイントをまとめています。
このような状況・会社におすすめです
- 設計事務所でスタッフを採用する時に必要な手続きを知りたい
- 採用後の労働基準法違反を避けるために、まずすべき手続きについて知りたい
- 三六協定を提出したいので、手続きの概要や期限について知りたい
- 三六協定について正確な情報や信頼できるサイトなどを知りたい
- 設計事務所で柔軟な休日や残業を設定したいが法的なことが分からない
三六協定の概要
三六協定についての概要は以下のとおりです。
期待される効果 | 手続き負荷軽減 労働環境改善 |
頻度 | 初回採用時|年1回更新 |
スケジュール | 採用後速やかに※届出前の残業は認められないため |
費用 | 届出は自社でも完結可能[無料] 社会保険労務士にて代行可能[5千円~1万円程度] |
手続き主体者 | 設計事務所の代表(雇用主)、スタッフ(従業員代表) |
三六協定はほとんどの設計事務所で実質的に必須の届出です。特別条項を設定すれば残業時間を拡張することも可能です。制度を理解して届出をすることで柔軟に労働時間を運用できるようになります。
設計事務所で三六協定を届出するときのポイント
設計事務所で三六協定の届出をする際のポイントを紹介します。
残業が発生するなら設計事務所の規模にかかわらず届出は必須
三六協定はスタッフの労働時間が週40時間を超える場合や休日出勤が発生する場合に、労働基準法36条によって提出が定められてる届出です。
届出は設計事務所の規模や、法人か個人事業主かどうかにかかわらず必要です。またアルバイトやパートタイムを採用する場合にも必要な手続きです。
簡易な手続きなので自社で届出ができる
三六協定の協定届の作成や提出はそれほど難しくありません。厚生労働省東京労働局のページ時間外・休日労働に関する協定届(36協定届)から様式がダウンロードできます。記入見本も掲載されているため、自社で十分対応可能です。
作成した協定届は所轄の労働基準監督署に提出し、その後は1年ごとに更新します。
三六協定の届出により残業や休日出勤ができるようになる
時間外労働や休日出勤が全く発生しない会社や設計事務所はほとんどなく、一秒もオーバーしないで働くというのは難しいことといえます。
三六協定を届け出ることで、通常であれば1ヶ月45時間、1年で360時間まで労働時間を延長でき、違法な時間外労働というリスクを回避できます。
特別条項を定めることで一時的に残業時間の上限を延長することも可能
三六協定で定めた時間以上の残業が突発的に発生する場合は、特別条項を設けて対応することで残業時間の上限を延長することができます。
ただし、延長できる回数は年6回(6ヶ月)などの制限があります。特別条項について、詳しくは、厚生労働省がまとめているパンフレット時間外労働の上限規制わかりやすい解説をご覧ください。
設計事務所で三六協定を届出するときの注意点
三六協定を届け出る上で注意しておきたいポイントをまとめています。
届け出る前の残業は認められないため初めての採用時には速やかな提出が必要
三六協定の届出は初めて従業員を採用する時に必要となります。届け出る以前の残業は認められないため、速やかな提出が必要となります。
アルバイトやパートタイムの採用でも三六協定は必要
アルバイトやパートタイムについても、残業をしてもらうためには三六協定が必要になります。設計事務所で初めてアルバイトやパートタイムを雇う際は、届出をしておきましょう。
上限を超えた時間外労働は法的に規制されている
労働基準法の改正により大企業は2019年4月から、中小企業では2020年4月から三六協定で設定できる時間外労働に法律による上限が設けられます。
上限を超えた時間外労働には罰則が科されるため、小規模な設計事務所が2020年4月以降に届け出る際は注意が必要です。
中小企業の定義については、中小企業庁のページ中小企業・小規模企業者の定義をご覧ください。設計事務所はサービス業にあたります。
三六協定の作成に関する書籍・関連情報
時間外労働の上限規制 わかりやすい解説|厚生労働省
三六協定について全般的にまとめられたパンフレットです。法律で定められている労働時間や改正によって設けられた労働時間の上限などについて解説されています。
時間外・休日労働に関する協定届(36協定)|東京労働局
三六協定の記入例や様式、届出の手引きなどがまとまっている東京労働局のページです。
働き方改革法における「新36協定」と「旧36協定」はどう違う? 特別条項も含め注意点を解説|ホットな人事労務マガジンSmartHR Mag.
法改正によって、三六協定がどのように変わったかをまとめているページです。
三六協定は設計事務所でスタッフを採用する際にほぼ必須の手続きです
三六協定は設計事務所でスタッフを採用する際に実質的に必須となる手続きと言えます。また、設計事務所の規模や、法人か個人事業主かにかかわらず必要な手続きです。
設計事務所で三六協定を届け出るときのポイントは以下の通りです。
- 三六協定は労働時間が週40時間を超える場合や休日出勤が見込まれる場合に、提出が定められている
- アルバイトやパートタイムのスタッフを採用する場合でも届出が必要
- 届け出る前の残業は認められないため、初めての採用時には速やかな届出が必要
- 中小企業は2020年4月から、三六協定によって設定できる時間外労働の上限に法的な規制がかかる
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