インタビュー

建設界の朝ナマ「PROPSプロトーク」、経済効果はたぶん2000万円超

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フリーランスの暗黒面に落ちていたこの時期、プラスになったこととしてPROPSというイベントの運営がありました。

PROPSの前身は、2010年と2011年に僕らが開催した「建築・不動産実務クラスタ交流会」です。これは単発のイベントでしたが、そこに参加していた長嶋修さんたちは「ハ会」というイベントに発展させていました。それで僕らも継続して開催したいなと。時間もできて腰を据えて企画を立てることができるようになったので、建築・不動産実務クラスタ交流会で出会ったいろいろな人に協力してもらって、「PROPSプロトーク」という名前で、毎回テーマを決めて、5回シリーズで進めることになりました。

PROPSの運営には、いくつかこだわりがありました。「同じ属性の登壇者をあげない」「知名度『だけ』で人を呼ばない」「登壇者を『先生』にしない」などです。PROPSは、建築家、ゼネコン、デベロッパー、不動産仲介、IT起業家、コワーキングスペースの運営者、学生など、土地・建物に関係するいろいろな業種の方がフラットに、そして登壇者も来場者も対等に話せるようにしたかったのです。運営担当の諸山隆法さんとぽむ企画の平塚桂さんと僕との3人が、各回のコーディネーターとやりとりする中で、暗黙だったルールが明文化されていきました。

都市を巡って、建築家と組織設計事務所、PM/CM会社が議論

第2回の「開発・オペレーション−−日本の都市開発モデルは海外展開できるか」を例に取ってみましょう。都市部での大型プロジェクトと地方のまちづくりの可能性をテーマにした回です。

PROPSプロトークの様子

日本の都市開発史に詳しい建築家の藤村龍至さんはグローバルとローカルをつなぐ視点を提供し、RIAの再開発コンサルタントである中尾俊幸さんからは、縮小の時代における地方のまちづくりの現場の声を聞かせていただきました。山下ピー・エム・コンサルタンツの川原秀仁さんには、CMの立場から施設づくりと運営ノウハウを一体的に海外展開する可能性を提示していただき、大手組織設計事務所のnet_headsさんは、これまで多く携わってきた大型ショッピングセンターや鉄道会社の郊外型の開発とベトナムでの開発事例をお話しくださいました。

会が始まる前に、運営スタッフ以外で4人全員のことを知っていた人がいたでしょうか? こうした独自のキュレーションができるのがPROPSの強みでした。建築家とデベロッパー社員が話すとか、不動産ポータルサイトを運営しているITエンジニアと不動産鑑定士とが議論するなんてことは、PROPSでないとできなかったと思います。これまで聞いたことのない話を、ユニークな登壇者を招き、独自の論点で展開する。土地と建物に関する「朝まで生テレビ」のようなイベントだと紹介しているのですが、雰囲気はつかんでいただけるでしょうか。

PROPSを起点に経済が回りだした

PROPSというイベントのすごいところは、いろいろな人たちを掛け合わせたら、本当にビジネスの種が生まれたということです。僕はこの後PROPSで生まれたつながりから山下ピー・エム・コンサルタンツで仕事をすることになりましたし、別の会社で働いていた諸山さんも今は僕と同じ会社で若手のエースとしてバリバリ働いています。参加者同士でも実際に仕事が動き出していて、創造系不動産の高橋寿太郎さんや不動産コンサルタントの田中歩さん、プログラマの野々村範之さんらがプロジェクトを共にしています。

PROPSの運営やコンテンツ制作のノウハウは、ライターの平塚さんにすごく助けてもらいました。平塚さんは日本建築学会の学会誌のライターの仕事も紹介してくれて、この時期まとまった規模のライター業をさせてもらうことができました。

props01

僕はPROPSのネットワークで出会った人に、その後の仕事でたくさん助けてもらいました。異なる業種・業界の人が集まると、仕事の種というのは簡単に生まれるんだなあということがよくわかりました。経済効果はゆうに2000万円は超えているんじゃないでしょうか。参加者のリワードの一つとして、仕事という形で報われたのは本当によかったと思っています。

(取材・文 たかぎみ江)

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