大失敗!創業3時間後に会社機能がストップしてエア起業状態に

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起業するのは結構ぎりぎりまで悩みました。技術者であることは広報専任になるときに捨てたけど、サラリーマンの「ように」働く可能性もこれでなくなるわけです。起業家は人に対して自由度をつくる代わりに、自分は自由度をなくすことになりますからね。実際は、背広系フリーランスとの兼業起業に近い形でした。

新しい会社の名前はフリーランチにしました。経済学にノーフリーランチ定理というのがあるんです。タダメシなんてものはない、見た目はタダでも実際には誰かがそのサービスのコストを負担しているんだ、みたいなことです。でもうちは、個人の事情に応じて正社員選んだり派遣社員選んだり契約社員選んだり、週2〜3日働くのでもいいし、独立してもいいし、その時々で最適な働き方を選べばいいというスタンスの会社。働き方を知って制度をうまく活用すれば、タダメシ的なこともありうるんじゃないかと。働く人にメリットがありそうな名前だと思って、決めました。事業所は、一緒に仕事をしていたクライアントのオフィスの一角を転貸してもらえることになりました。

登記後すぐに会社機能がストップ

さあ、いよいよ創業。2014年9月某日、午前中に行政書士さんに書類を渡して登記をお願いしました。そうしたらその午後、オフィスを転貸してくれる予定の会社から連絡が。なんとビル管理会社からオフィスの転貸にNGが出たと言われたんです! あわてて行政書士の先生に相談しようと電話したら、元気よく「無事登記申請完了しました!」と(笑)。

つまり、転貸してもらえるはずだったクライアントのオフィスの所在地を登記したら、登記が完了してからそこが使えないことになってしまったんです。そうなると郵便物を受け取れない。銀行口座がつくれないし、名刺もつくれない。当然人材事業も始められない。会社設立の3時間後に会社機能が全て止まってしまった笑)。「エア起業」というほかないですよね。

あわてて代わりのオフィス探しです。登記が中央区だったから中央区がよかったんですが、人材事業の事業所は20㎡以上要るし、でもこの先どうなるかわからないから高い家賃は払えないし、「保証金は家賃の6ヶ月分」みたいな場所も借りられない。そうなると、条件に合うまともなオフィスはないんです。やっと見つけたと思って神田まで見に行ってみたら、床が傾いてるものすごくボロい木造アパートで、ジメジメしていて、とてもじゃないけど人を呼べる環境じゃない。起業の厳しさを知って、すごく惨めな気分になりました。今思えば実家にでも登記しておけばよかったんですけどね。

代わりのオフィス候補として見に行った、神田の木造アパート

やっと見つけたのが、小伝馬町駅から徒歩2分のこのオフィスです。事業計画が初日で根本的に覆ったわけだから、重たい気持ちでのスタートになりました。仕事ができる体制になるまで、半年くらいかかりました。だから当初は、親しい人以外には起業したことを言えませんでしたよ。名刺とロゴができたのは創業から2ヶ月後でした。創業半年、オフィスの壁や床を改修するワークショップをして、ようやく仕事ができる状態になりました。まあ普通は起業してもこんなことにはならないはずです(笑)。

オフィス改修ワークショップを経て、ようやく会社が機能する状態に

本当の意味で未来の働き方を作る会社に!

起業するや否やこんな谷底に落ちるとはさすがに予想できませんでしたが、創業1年目はいろんな冒険をすることができましたし、周りの人に助けてもらうことでどうにか生き抜くことができました。フリーランス時代より、支えてくれる人のありがたみを感じることが多くなってきました。

フリーランチの意義は、「働き方」に対してコミットする会社でありたいということだと考えています。フリーランチが掲げている「未来の働き方を創る」というミッションは、単に転職を斡旋するということではないはずです。どんな働き方に対してもサポートできる体制を持ち、新たな働き方を実現する、そういう会社でなくてはいけません。会社勤めの人がフリーランスになったり、独立したりすることがあれば、こちらでも全力でサポートしていきたい。働き方の制度に矛盾があれば、変えられるようにアクションを起こすことも必要かもしれません。働き手と一緒に悩み、ライフサイクルでつき合い続ける。働く人が働くことに専念できる環境をつくっていきたいですよね。

フリーランチ創業1周年パーティーを開催

(取材・文 たかぎみ江)

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