インタビュー

転職を決める前に、キャリアや職場の悩みを相談できる場が必要

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

フリーランチでは、働く人にキャリア相談のサービスを行っています。

キャリア相談というと、人材紹介会社に在籍する転職エージェントやキャリアコンサルタントと呼ばれる人との面談を想像するかもしれません。でも人材紹介会社のキャリア相談というのは転職を前提にしたサービスですから、転職エージェントに相談しようと思った時点ですでに「今の会社を辞めよう」という気持ちがある程度固まっているわけですよね。本当はもっと手前の段階で相談が必要なことのほうが多いのです。

転職する意思は決まっている

働く人にとって本当に必要なキャリア相談とは、「そもそも転職が妥当かどうか」「部署を異動になったけど、新しい仕事がキャリアにとってプラスになるのか」「内定の出た2社のうちどちらがいいか」そういうことを長期的な視点で客観的に助言してくれるようなものではないでしょうか。そこでフリーランチは、転職するかどうかにこだわらず、困ったときに相談できる独自のキャリア相談を始めました。

フリーランチのキャリア相談の特徴は、働き手から相談料をいただくことです。そのほうが働き手にとって恩恵の大きいサービスになると思うからです。一般的な転職エージェントやキャリアコンサルタントは、紹介した転職先企業から紹介料を受け取ります。だから相談無料と言って間口を広げるわけですが、クライアントは紹介料を払ってくれる企業なんです。こうしたビジネスモデルである以上、どうしても働き手とは利害相反になってしまうのです。

僕自身も何度もエージェントに相談してきましたが、皆さん厳しいノルマを抱えているので、仕事のマッチングが優先になってしまって、なかなか本質的な相談に乗ってもらうのは難しいんですよね。

キャリア相談に来た人には、要望がない限り転職先を勧めたりはしません。常時抱えている求人もありますが、それを押しつけるようなことはしていません。フリーランチはギルドのようにずっと存在し続けるから、酒場に来て飲み代を払うような感覚で通ってくれて、いつか仕事を見つけてくれればいいと思っています。その方が、働き手と息の長い付き合いができるのではないかなと思います。

ふらりとやってきて仕事を見つけたり、悩みを相談したりできる現代のギルド

ふらりとやってきて仕事を見つけたり、悩みを相談したりできる現代のギルド

実際、来られる人の相談内容も、転職のことより、キャリアや職場についての悩みが多いですね。10人のうち半分以上は転職の話もせずに帰られています。転職に関する悩みって短い期間しかありませんが、キャリアや働き方の悩みはつきないものです。これまで相談できる場がなくて、誰かに話したかったんでしょうね。

キャリア相談の相談役は、私も含めて必ずその業界で働いたことのある人、または現在も働いてる人が担当します。技術者は長く働き続けたいという欲求が強いので、同じマインドを持つ人が相談役になるのが一番いいからです。場合によってはキャリアメンターとなり得る人をご紹介したりもします。優秀な人ほど仕事に忙殺されてしまっていて、メンターに出会う機会を持てない可能性もありますから。

一方、いわゆる転職エージェントがその業界の技術職であることは滅多にありません。彼らの武器はこれまで見てきた履歴書の「量」ですが、会社の都合で別の業界担当に異動になることも多く、エージェントに知識がたまりにくいというのが実状です。

フリーランチの紹介方法もちょっと変わっていて、相談を受けてからその人に会った職場を探します。その人の強みを理解した上で、企業に売り込みに行くスタイルです。ありがたいことに多くの建築系の会社でのコネクションを持っているので、こういったやり方でも門前払いになることはありません。

ここでキャリア相談を行っています。要望がない限り転職先を勧めることはありません

ここでキャリア相談を行っています。要望がない限り転職先を勧めることはありません

フリーランチがこのようなサービスを提供している背景には、建設業界で働いてきた自分の経験があります。一般に技術者のキャリア形成には、総合職よりも長い時間が必要だと言われています。特に建設プロジェクトは大規模で、1つのプロジェクトの期間が長いため、他の業界よりもキャリア形成に時間がかかります。多くの仕事では30歳までが転職の限界とされていますが、建築業界で働く人なら40前半ぐらいまでは市場価値が高まっていくし、引っ張りだこなんですよね。経験してきたビルディングタイプや、クライアントの業界や、持っている資格など複合的な要素で市場評価が上がっていきます。

だから技術者は長期的目線でキャリアを積み上げていく必要があります。転職先が最後の会社になるに越したことはないですが、10~15年スパンで考えるとそうならないこともありうるので、次の次を見据えて会社を選ぶことが重要です。

転職すると中長期的に年収が下がることもあります。今の職場にとどまってチャンスを待った方がいいこともあります。定期的に相談できて、選ぶ前に助言してくれるカウンセラーみたいな人がついてくれてキャリアを積み上げていければ、もっといい働き方が見つかるはずです。

技術者は義理堅いので、労働環境や自身の価値・評価に無頓着なままで働いている方も多いんですよ。自分の価値と釣り合っていない会社で長いこと働いてキャリアアップのチャンスを逃してしまったり、無理をして心身を病んでしまったりする人もいて、問題意識を抱いていました。大事なキャリア形成ですから、自分の味方をきちんと雇って、いい働き方を見つけてほしいと思っています。

今フリーランチに相談に来られる方は、面白い方が多いですね。知る人ぞ知るサービスとして、できる限りこのキャリア相談は続けていきたいです。

(取材・文 たかぎみ江)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

SNSでもご購読できます。