多様な働き方を再発明する会社「フリーランチ」

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2014年に僕が創業したフリーランチは、正社員・契約社員・フリーランスといった働き方を問わない働き手と企業のマッチング、それから、企業活動に不可欠な人事や広報・マーケティングのコンサルティングを主な事業として展開している会社です。

インタビューを受ける納見健悟

フリーランチが目標としているのは、単なる人材紹介会社というだけではなく、これからの時代に合った「働き方」そのものを創造できるような会社です。

そのめざす道を表現したのが、この3枚の絵です。イラストレーターの野口理沙子さんにお願いして描いてもらったもので、コーポレートアイデンティティを示すイラストとして、オフィスの壁にも掛けてあります。

週2日×2社で働く
フリーランチのめざす道その1「週2日×2社で働く」

1枚目は、「週2日×2社で働く」という絵です。

フリーランチでは、正社員となって一つの会社にフルタイムで勤めるというこれまでの一般的な働き方に加えて、その人固有の事情や人生のステージに合ったいろいろな働き方を提案しています。

どれほど能力があっても、育児や介護、資格の勉強や大学院に行くなど、さまざまな理由で週5日働けない人はたくさんいますよね。それならば週3日だけ働くのでもいいし、派遣社員や契約社員を選んでもいいし、独立してもいい、その時々で最適な働き方を選べるように支援していくというスタンスです。

「週2日×2社で働く」というのは、終身雇用・週5日を前提としない、多様な働き方を端的に表した言葉です。同じような能力を要求する仕事を2社でしてもいいし、2社で仕事を全く変えてもいいし、そういう選択ができる世の中になるといいと思っています。

事情があって正社員になれない人にも道があるべきだし、みんなが正社員を目指す世の中である必要はありません。フリーランチは働き方を再発明する会社です。働き方の発明を通じて、本当の意味での多様な働き方を実現したいのです。

フリーランチ、現代のギルドをつくる
フリーランチのめざす道その2「フリーランチ、現代のギルドをつくる」

フリーランチのめざす道を表す2枚目の絵は「フリーランチ、現代のギルドをつくる」。フリーランチがハブとなって仕事をつくったり、あるいは依頼主を見つけてきたりして、それを仕事を求める人につないでいるという図です。

フリーランスにとって、自分で会社を回って営業するのはあまり効率がよくありません。仮に3人分の仕事を必要としている会社を見つけたとしても、自分が請けられるのは1人分の仕事だけですから。だから会社のニーズを掘り起こす役割は他の誰かに任せておいて、働き手はそれを請けたいかどうかだけを考えればいい、という状態が理想的ですよね。そういう場をつくるのがフリーランチの役割の一つです。

人材紹介事業をはじめとした働き方のマッチングは、今のところ僕がこれまで従事してきた建築・不動産業を主としていますが、ITエンジニアや総務系の実績もあります。

また、フリーランチではサービスの一つとして、働き手のためのキャリア相談も行っています。転職を前提とした相談に限らず、仕事や職場の悩みを聞き、働き方全般に関する長期的なアドバイザーとしてお付き合いするというものです。こういうスタンスは他の人材紹介会社と違うところですね。

将来的にはまとまった規模のコワーキングスペースを運営したいと思っています。キャリアの話にも相談に乗れて、仕事も紹介できるし、自分の仕事をそこでしててもいい。働き方のギルドが実現できたら、面白いんじゃないかなと考えています。

ドラゴンクエストに出てくるルイーダの酒場みたいに、ふらりとやってきてクエスト(仕事)を手に入れたり、悩みを相談して酒代を置いていく、という場になればいいと思っています。

人が動くと社会が変わる
人が動くと社会が変わる

3枚目の絵のタイトルは、「人が動くと社会が変わる」。フリーランチは働き手に仕事を紹介するだけでなく、これまでなかったような働き方を実現できるサポートもしています。

労働系の法律は基本的に「悪しき会社から、弱き労働者の権利を守る」という発想で設計されています。であるが故に、会社にとっては正社員を解雇するのが難しくなりすぎて、採用のハードルがすごく上がっています。だから仕事はあるのに採用に踏み切れない会社がたくさんあります。

でも仕事を探している立場からしてみれば、10年先まで働ける職場を1年かけて探すより、半年間でいいから今すぐ仕事が欲しいという切実な思いがありますよね。労働者を守るがために、必要なところに必要な求人が生まれなくなる、という矛盾が生まれてしまうのです。

今の制度では、正社員になれればいいのですが、正社員から滑り落ちると仕事を見つけるのが非常に難しくなる。たとえば、能力があっても子育てなど何らかの理由でブランクができてしまったキャリア弱者に、一番しわよせが行ってしまいます。

でも、そのルールを雇う側から変えるのは難しいことです。雇用の自由化を会社が主張しても、会社側に都合のいいルールをつくろうとしてるだけではないかと疑われてしまうからです。

そこで雇われる側から「こういう働き方をしたい」と提案して、終身雇用とは違うオプションを一つつくることが大切になってくるのではないでしょうか。そんな人が大勢出てくれば、世の中の働き方が変わっていくのではないかと思っています。

僕はこれまで、建築設計、監理、コンストラクション・マネジメント、社会人大学生、ライター、広報・マーケティングとキャリアを重ねてきました。正社員だったこともあれば、契約社員だったことも、フリーランスだったこともあります。よくある経歴ではありませんが、自分なりの必然性があって選んできた道です。時には失敗も重ねながら、なんとか生き抜けるよう働き方を模索してきました。

困ったこと、不便を感じたこと、世の中に足りていないと思うことがいろいろありましたが、「働く」ことに関するスキルとノウハウを試行錯誤しながら獲得しました。それがフリーランチという会社の基本姿勢を形づくっています。僕自身の働き方そのものが、フリーランチのビジネスモデルなのです。

(取材・文 たかぎみ江)

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