アイドルマスターの現場から

社員が幕張メッセに集結 765プロ プロデューサー達のものがたり(アイマス冬ライブレビュー) #imas

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アイドルマスターのライブこと、「THE IDOLM@STER MUSIC FESTIV@L OF WINTER!!(以下冬フェス)」に参加してきたので、レビューをまとめようと思う。既に演目については、記事が出始めているし、ライブのパフォーマンスについては古参プロデューサー(以下P)が細かい考察を残していくことなのでここでは割愛する。

演目の内容に触れるよりも、アイマスを知らない人もいることも考慮して、もう少し俯瞰した目でライブを通じて感じたアイドルマスターというコンテンツの特殊性について話そうと思う。アイマスというコンテンツの中にいる人にとっては少々回りくどい説明であったり、背景が読み切れていない部分もあると思うが、許容願いたい。

○セットリストにこめられた想い
ライブ本番の感想は、オフ会でも話題となったライブの感想から、印象に残った2つの出来事について言及したい。

あずみんの「初心」と振り返る「First Step」
あずみんこと、萩原雪歩役の浅倉杏美さんについて、言及しないわけにはいかない。

アイマスも今年は8周年を迎える長寿コンテンツであり、過去には声優さんの交代も経験している。浅倉杏美さんは、5thライブにて2代目雪歩役の声優として発表され、お披露目された。会場は奇しくも今回と同じ幕張メッセ、声優交代の衝撃が冷めることのない余韻の中で、彼女はプロデューサー達の前に登場することになった。

浅倉さんが歌った「First Step」は、彼女の雪歩役就任が決まった早い時期に収録されてたそうだ。歌詞もゲーム内の演出と絡めて彼女が作詞を担当したものなのだが、ゲームの根幹と絡む演出のため、長らく公式の場で言及したり、CD収録やライブでの発表が見送られていた。

直前に「First Step」を収録した「生っすかSPECIAL カーテンコール」がCDが発売され、お膳立ては整っていた。彼女の「初心」が籠められた「First Step」を2年半後に同じ会場の場で披露し、成長を感じる場を持つことができた。幕張で披露したことで、ようやく「スタートライン」にたてた。夜の部の感極まった浅倉さんの涙に、会場のP達も感じ入るものがあったのではないか。少なくとも僕は涙が止まらなかった。

不在メンバーは765プロのメンバーが埋めるという気概
アイマスガールズ全員が勢揃いした7thとは違い、冬フェスではチケット販売時に4人の不在が判明していた。全員が勢揃いした夏ライブに対して、幕張という冬フェスで行われたことのない大きな会場で7,500円というチケット代に見合うパフォーマンスにどう仕上げるのかを個人的に注目していた。

冬フェス当日の晩に公開されたラジオ「アイマスステーション!!!」では、四条貴音役の原由実さんが「今回、参加されていないキャストさんの曲を歌おうというコンセプトがあった(第185回 0:09:45~)」と述べていたが、ライブでも不在のメンバーを明確に埋めようとの意図を感じた。

一番、目についたのは、音無小鳥役の滝田樹里さんのパフォーマンスだった。滝田さんは、出産を経て、7th ライブで復帰となった。これまでは事務員という役柄上、ライブには登場するもののソロでの出演を中心とするなど一歩引いた立場として参加していたのだが、今回の冬ライブは違う役割を与えられていたようだ。

「Vault that borderline!」では、本来の歌い手4名のうち2名が不在であったが、滝田さんがダンスの激しい曲に入り、見事なカバーを魅せた。不在を埋めてもらったお返しをするかのように他のガールズと同じ立場で定例ライブに参加したというのは、アイドルと事務員の関係性を変える1つのサプライズであり、心に響くものがあった。

他にも、「フタリの記憶」での、双海亜美真美役を勤めた下田麻美さんが元気いっぱいの亜美真美が伊織の真似ではなく、伊織不在の亜美真美が空気を感じ取ってしっとりと歌い上げていたことも印象的だった。

不在のメンバーをサプライズゲストで埋めるのではなく、765プロのメンバーでカバーしきったこと。また、生バンドによるライブ、それにふさわしい選曲など、夏ライブの縮小版ではなく、エッジの効いた冬ライブなりの演出を打ち立てるんだ、という気概を強く感じた。

○今後の展開
アイマスのライブでは、必ず今後をめぐる重大な発表がなされる。この冬ライブでは、2つの重大発表があった。1つはアニメの劇場版「THE IDOLM@STER MOVIE」の発表であり、もう1つはGREE のソーシャルゲーム「アイドルマスター ミリオンライブ」(以下グリマス)の発表である。

アニメは続くよどこまでも
アニメを担当した錦織監督とアイマスの出会いは、巨大コンテンツに育ちながら停滞気味にあったアイマスにポジティブなインパクトをもたらしてくれた。アニメ開始前のアイマスは、古参Pは徐々に引退していき、新規が入りにくいマニアックなコンテンツと見られるようになっていたが、アニメは1つの転換点となったように思う。

アニメやアニメに続いてサービスが開始されたシンデレラガールズ(以下、モバマス)からアイマスに新規参入してくるプロデューサーが増えることで、コンテンツとして久しぶりに前向きな話題が提供されるようになった。

アニメの劇場への展開については、心配していない。アイマス愛をもつ、Pの心を理解した錦織監督丁寧に描いたアニメの全26話を僕らプロデューサーは覚えているからだ。この話題については、誰も無条件に歓迎したはずだ。

765プロの系譜は、グリマスへ
2つめのサプライズは、グリマスの詳細が発表されたことだった。765プロの現状のメンバーを残しつつ、新たな展開として765プロの大幅な増員が発表された。

声優の交代やアイマス2が十分に受け入れられなかったことで、765プロの将来が見えなくなっていた。モバマスがすさまじい売上をたたき出し、ひとまずアイマスの存続自体は保証されそうだが、ガールズ達も年をとり、このキャストだけで新陳代謝もなく続いていくのか…という懸念もあった。

もちろん、売上や反応が芳しくなければ系譜は途切れ、なかったことになるかもしれないが、少なくとも「765プロのものがたり」を続けていく意思とその継承先を見いだそうという積極的な試みと受けとった。グリマスはライブに行くまでは見送ろうと思っていたのだが、まずはエントリーはしてみるつもりだ。 

シンデレラガールズは、アイマスの世界を広げる役を担うことに
冬ライブの会場の隣のワンフェス会場内では、mobage のソーシャルゲーム「アイドルマスター シンデレラガールズ(以下、モバマス)」関係のイベントが開催された。

隣の会場ということで、なんらかの関係が生まれるのではないかという淡い期待も感じていたが、アイマス本家とモバマスのキャスト間のコラボはなく、忙しいプロデューサー達が会場を行き来することで双方の会場で熱気がつながれたのは印象的だった。

会場や音響設備の違いもあるが、やはりシンデレラガールズと765プロメンバーとの間には、パフォーマンスには厳然たる違いがある。モバマスの唯一のコンテンツであるラジオ番組には、これまでほぼ声優としての実績のない大橋彩香さん、福原綾香さん、佳村はるかさんが起用されているが、モバマスはモバマスなりにコンテンツを開拓することが求められているということなのだろう。

その中に、ゆるゆりなどで、すでに一線級の声優である大坪由佳さんが起用されているのが気になっていたのだが、765プロとは別の世界を切り開く役を与えられたのだと考えれば納得できるように感じた。大坪さんの経験はいいインパクトを与えてくれるはずだ。

モバマスのキャストは、765プロのアイドル達とも絡んではいくのだろうが、ある一定の距離感を保ちながらアイマスの世界の拡張する役割を託されたのだろうと感じた。個人的にもモバマスのキャストには、アイマスの裾野を広げていってくれることを期待している。 

○同僚達とつくるアイマスライブ
会場の内外で見られた、プロデューサー達の動きに焦点を当ててみたい。今回は、コール本と呼ばれる非公式のライブ内でかける声援の解説本や物販に並んだり、オフ会に参加するなど、ライブの前後に行われるアクティビティにも思い切って参加してみた。

アイマスライブは、全国に散らばるP達の社員総会
アイマスというコンテンツの魅力は、参加者がオーナーシップを持っていることが挙げられる。7thから始まった赤羽根Pの「同僚のみなさん」という呼びかけが、バンナムとガールズ、プロデューサーの関係をうまく位置づけたと言える。

年に2回、夏と冬に全国各地からプロデューサー達が集まる。サイリウムやコールで一体となって場の空気をつくるという体験は、アイマスライブで味わえる素晴らしい体験ではあり、声優のライブ…と引いた層が実際に参加してみて感動するポイントでもあるのだが、それは一義的なものにすぎない。

アイマスのP達がライブを好むのは、日本全国で担当アイドルのプロデュースがアイドル達の晴れの場に社員が続々と集結する場であるからだと思う。アイドルの晴れの場をみて、大いに楽しみ、アイドル達の成長に時に涙する。隣の見知らぬ同僚にも声をかけて名刺交換したりする。

さながら765プロという巨大会社の社員総会だ。
ライブという社員総会が終われば、当然待っているのは打ち上げだ…。

オーナーシップがつくるアイマス
アイマスのライブの日には、会場の外でもいろいろなイベントが行われる。
りゅん☆(@ryunstar)さんがつくるコール本は、その1つだ。アイマスの曲は多く、全てを網羅するまでには時間はかかる。もちろん会場は一体となってコールがつくられていき、初ライブでも流れに併せていくことはできるのだが、コール本という存在は「決してアイマスは新しく入って来る人を拒みませんよ」という先輩P達の意思表示のように思える。

コール本の配布はアイマスの文化を知らないものには、ある種異質でもある。混乱を避けるために直前まで告知せず、受け取る側も会場のそばをうろつきながらじっと発表されるのを待つ。受け取る側も十分に御礼したい気持ちを我慢し、心をこめた一言の御礼を述べ、さっとその場を後にする。

また、今回はオフ会にも参加させていただいた。
今回参加させていただいた オフ会を取りまとめられていた 柳也(@yanagiRAIL) さんには、席割や事前の自己紹介、ラミネートされた参加者のための名札などP達が言葉を交わしやすい工夫を凝らしていただいた。アイマスがこんなにも好きな人たちと、アイドル達のパフォーマンスについて語る。それぞれの担当アイドルの苦労について、それぞれが知る物語を元にライブの演出を紐解き、深みを与えていく場に立ち会わせていただいた事に感謝したい。

残念ながら終電の関係で、約1時間半の参加となってしまったが、ライブ後の疲れを吹き飛ばすような充実した時間を過ごすことになった。無念の中座ではあったが、また次のオフで再会できることを楽しみにしている。 そして、次は東京近郊でも宿をとることを決意した。

今回通じて出会った、お二人の先輩Pはアイマス黎明期から支えてきたPであった。苦労を誇るでもなく、アニメや7thから入ってきたP達や僕のようについたり離れたりといったPをそれぞれの形で導いてくれたように感じる。Pとしてのキャリアなりに、自分たちができることをしていく。そうしたオーナーシップを取り入れた試みこそがアイマスというコンテンツの魅力であるのではないだろうか。

僕は、そうした尊敬できる先輩プロデューサー達に育てられて、アイマスという輪の中に加えていただいているのだということをライブに参加するたびに想いを強くする。だから、僕はアイマスのライブには、今後も参加し続けることだろう。いつか何らかの形で、この想いをつないでいけたらと考えている。

○7thの後、今後も765プロをめぐる物語は続く
最後に、冬フェスは、765プロを中心とした物語がまだまだ続くという期待感を抱かせる一日だったということを確認したい。

ある意味で、765プロのライブとして集大成となった7thライブであり、そのパフォーマンスが「横アリ病」と言われるある種の燃え尽き症候群を呼び起こした。これ以上の体験はできないのではないかという不安が、アイマスというコンテンツの先行きの不透明さとあいまって、終わりを予感するような喪失感を僕の心に残した。

しかし、冬フェスでコンテンツとして完璧さを極限まで突き詰めるという方向とは別に、アクシデントもつきものの生バンドで起きている状況を楽しむという形式を提示したことで、ゆっくりとしかし着実に時計の針をまわしていくんだという意思を感じとった。

僕らが勤める765プロはブラック事務所なのかもしれない。なにせ、副業(現実の世界をアイマスではこう呼ぶ)の稼ぎで本業(プロデューサー業)を維持してきているのだから。そして、バンナムはこのP達のオーナーシップを肯定しつつも、収益に結びつけて来れなかったように感じる。オーナーシップを持つ参加者よりも、より簡単にコンテンツに飛びついてくれる層を優先するがあまり、このクラスのコンテンツではあり得ないようなすれ違いを過去には引き起こしてきた。

しかし、会社にいれば、会社の方針や上司とは意見が食い違うものだし、退職(引退)する同僚もいる。でも副業の世界では、最大のハプニングの退職であれ、案外なんらかの形でそこにいた人たちと関係が続いたりする。だから、アイマスにおいてはライブがその役割を果たし、同期・同僚のP達、同じ釜の飯を食った仲間達と関係性を持続する場があってもいいのではないかと今にして思う。

ライブには、アイマスの最大の魅力が詰まっている。そこに歴史や人が凝縮されているからだ。P達のオーナーシップが加わるからこそ、ステージ上のパフォーマンスで完結するのではなく、ライブの前後に共通の軸を設定し、広がりを持たせることができるのだ。

次のライブを「まこと、よき1日」にするために、僕らは副業の世界にもどり、準備を始める。そう遠くない夏のライブに同僚のみんなと再会できることを期待したい。 

追伸
個人的には、ほぼ本業に支障のない範囲で励んでいた副業に関しては動きがありまして、3月からお世話になる会社が決まったタイミングでのライブでした。765プロでの活動を振り返りながら、新たな環境に想いをはせるというライブとなりました。

アイマスというコンテンツを支えるどころか、支えてもらっていたアイマスとそれを支えてきたPのみなさんへの感謝をこのエントリーにかえさせていただきます。

ライブ最後の演出に使われた風船と公式パンフとコール本、ライブを経たサイリウムの残光が余韻を照らす(撮影:あるきかた)

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コメント

  1. サク より:

    当日終電ご一緒させていただいたサクです。その節はお世話になりました。ライブでは私のような新参者にも平等に接してくれる諸先輩方の心遣い、演者やスタッフの方々と一緒にライブを作るあの感じ、実生活では味わえないものを多く感じさせてくれました。またあの様な素晴らしい時間を共有できることを願っています。またお会いしましょう。

  2. archikata より:

    サクさん、電車でもお話ししましたが、本当に時間を共有できる仲間に出会えて良かったですよね。
    先輩P達とアイマスの世界を大切にしていけたらと思っています。
    お互い次は宿を確保して万全の準備をしてライブに望みましょう!
    また、お会いしましょう!

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