働き方・生き方・稼ぎ方

新卒でつまずいた転職経験者に聞く 「キャリアって結局なんですか?」

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最近、働き方関係のイベントに出たり、企画をしたりして人前で偉そうに働き方について話すようになった。最近では、PROPSで「働き方・生き方・稼ぎ方」のトークイベントを開催したりした。詳細は、近藤佑子さんのレビューを参照されたし。

自分自身を振り返ると、仕事が面白くなったのって、入社3年目くらいだったと思う。キャリアのスタートのそもそもでスタートラインにも立たず、就職活動もせずウェブ屋の真似事などをしていた。家庭の事情で定収が得られる仕事に就かざるを得ず、建築を専攻していたので組織設計事務所に飛び込みで営業をかけて、そのなかの1つに採用されることになったというものだったから。

入社してみても設計の仕事にあまり興味がもてなかったし、会社の財務諸表をみて「こら潰れるな」と思った。数十億の売上が有りながら、人件費が9割以上を占めている。いざという時に切れるような有期雇用の社員も少なく、経営をちょっと囓りかけてた自分には絶望的にうつった。会社(設計事務所)って、ずいぶん適当なんだな、と。(結果的に数年後に給料の大幅カットを敢行したので、自分の目はどうやら正しかったようだ。)

公共の部門にいたときはクライアントからの制約もなく、「部門長が考えた、いい建築」が誰のチェックも受けず、世の中に出ていくことにいろんな意味で驚いた。クライアントの制約がゆるく、社内の人間が効率性を重視しないとき、プロジェクトは地獄になることを学んだ。

事業物件の部門に移籍してからは、流通や不動産事業の論理に触れることができて、仕事が面白いと感じられるようになった。デザインに興味はないかもしれないが、彼らは一貫して彼らなりの整合性や効率を追求していたように思う。

仕事が面白くなってくると、業務時間以外でも自分で勉強するようになる。ビジネス書を読みあさったり、資格の勉強するのが苦にならなくなった。転職を経験して資格がお金に代わるのがわかるようになると、自費でセミナーにいったり、高額の投資をして資格を取ったりした。

現場にでるようになると、毎日が移動の日々だった。いくつもの現場を掛け持ちし、毎日違う現場へ向かう。現場は体育会系で失敗すれば、怒鳴り声が飛ぶ。失敗が目に見える形になるので、わかりやすかった。

深夜にモニターの前で残業するよりも、暗くなるまで検査に飛び回る方が向いているようだった。職人が逃げた時は作業を手伝ったり、内装監理者が逃げたときは権限委譲してもらって、テナントからのクレームの矢面に立ち続ける日が続いた。非常事態が毎日起きる現場は不謹慎だが楽しかった。

現場に来ると仕事をする相手の年齢層が一気にあがり、技術だけを追求するのを諦めた。経験は歳を経ない限り勝てない。自分が役に立てるのは、自分で事業をやろうと思って勉強してた契約の知識、設計の時に学んだ建築関係の法令やデザインの善し悪し、発注者の価値を正しく伝える翻訳力。合わせ技で居場所が見つかった。

それ以後は、100%満足ではないけれど、自分なりに仕事の面白さを見つけられるようになった。転職してCMの仕事はじめてからは自分がプロジェクトの主導権を握りつつも良き理解者であるお客さんにも恵まれた。仕事も楽に進められるようになった気がする。

ここ1~2年はほぼ完全在宅のフリーランスの経験した。自分へのパフォーマンスの測定が組織にいたときより、今のほうが厳密。わずかな失敗でも、すぐに仕事がなくなるので気が抜けない。同時に、これが本来の仕事なんだろうとも感じる。得難い経験だったと思うので、これを次のタームで活かせるように頑張りたいと思う。

会社でいくらパフォーマンスあげてても、それは会社のビジネスモデルや信用力あっての自分。会社ってのは、効率的な業務で仕事がまわってる。だけど、知らず知らずのうちに自分の力だと過信してしまう。たしかに前の会社ではCM業務を自分と同じようにできるマネジャークラスの人間はいなかったし、話を聞くと今もいないようだ。でも、会社自体は別の業務でそこそこ順調に稼いでる。仕事ってそういうものだ。

いろいろな立場で仕事をしてみて、設計から施工、コンストラクションマネジメントや不動産企画、なぜかライターまで経験した。組織と個人の両面から、仕事というものを俯瞰できて、稼ぐって事を真剣に考えられるようになったと思う。自分の名前で判子ついて、報酬貰うというのは貴重な経験だった。

30代は、ボーナスステージみたいなもの。よっぽど人格や能力に問題がなければ、仕事は集まってくるもの。そういう立場で就活や新卒生相手に強者の論理を説きがちになってしまう。

20代ではキャリアについて考えていなかったので、すごく廻り道をした。いいカードを引いてチャンスを活かしてきた人は、話を聞く限りあんまりキャリアについて考えていないと語る。僕は、手持ちの札も良くなかったし、チャンスも無駄にもしたので、仕事が面白くなったあたりでかなり強引な軌道修正をした。結果的にいろんな仕事ができるようになったので、満足しているがなんにも考えてなかったら、今も愚痴をいいながら自分がむいてない仕事をしていたように思う。

場所の選択を間違えれば伸び悩むし、どんな人間でも最初から成功できるわけでもない。良いキャリアを形成してきた方に学ぶとすれば、仕事が順調なときは脇目を振らずに仕事に注力するべきだ、ということ。失敗をするからこそ、キャリアについて考える必要がでてくるのだから。失敗するときにプランBが必要になってくる。

そんなことを思ったのは部屋の整理をしていたら、新入社員の時の評価シートが出てきたからなんだが、あの時はホント酷かった。プライドばっかり高くて、扱いづらい自分を拾って育ててくれた、最初の会社に感謝している。というか当時の上長の評価コメントを見て、ダメだった当時の自分を思いだしてこの記事を書いた。人間は悪かった時代のことは、案外忘れるものだ。

○参考書籍
ドヤ顔モードで執筆(共著)しています。

4395241182 建築学生のハローワーク (建築文化シナジー)
五十嵐 太郎


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